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公共工事入札時の参考明細書と図面との相違と、付加してほしい資料

公共建築工事の入札時に配布される設計図書と一緒に、積算参考資料(見積参考資料)が添付されることがあります。
いわゆる参考明細書・参考数量書で、建築数量が分かる内訳明細書の形で作成されています。
入札参加者によっては、日程や落札意欲などの諸事情から、設計図書で積算をしないで、この積算参考資料で見積り、入札に参加することもあるようです。

積算参考資料

積算参考資料とは

積算参考資料は、工事ごとに扱いについて記載される内容によって、位置付けが違う場合もあるかもしれませんが、基本的には以下のような定義になります。

1)入札参加者がより正確に見積りを行うことができるように、予定価格算定にともなう具体的な条件などを見積参考資料として提示するもの。

2)設計図書には含まれず、請負契約上の拘束力が生じるものではない。

3)入札価格は積算参考資料のみに頼らず、設計図書・施工条件などから受注者の責任において定めるものとする。

つまり、あくまでも参考資料として使用するもので、内容に間違いがあっても責任取れないよ、といったものと言えます。

実際の信頼性

積算参考資料が添付された工事の積算は何度かやっていますが、印象としては、あまり精度は高くないと感じることが多いです。
項目については、設計図書にあるものが計上されていなかったり、逆に積算参考資料に計上されている項目が、設計図書に見当たらないということも有ります。
数量についても、2~3割違っているものもあります。

ただし、項目や数量の違いの程度は工事によって違いますし、違いがあったとしても工事費全体から見れば致命的とは言えないことが多いかもしれません。
また、項目や数量の違いについて質疑することもできますので、その部分の修正ができないわけではありません。
なので、設計図書の内容が正確に反映されていないのなら必要ないとまでは言えません。
入札参加者側で図面から積算した数量・項目について、積算参考資料と比較して間違いがないか確認する手段として、かなり有効に利用できるということもあります。

積算参考資料に付加すべき情報

なぜ項目や数量に違いがあるのでしょうか。

それは単に積算力の不足による間違いというわけではなさそうで、積算参考資料を作成する過程のいろいろな事情が原因だろうと考えられます。
積算参考資料を作成する過程で、設計図書に対する質疑が出てくるはずですが、その回答による訂正をする日程が取れなくて、図面は質疑回答による訂正が済んでいますが、積算参考資料の方は質疑回答による訂正ができていない。
あるいは、図面作成の最終段階で出てきた変更を反映する時間が取れなくて、積算参考資料にその変更か所が反映されていない。
といったことが想像できます。
普段積算作業をする者としては、ある程度仕方ないと思える部分です。

そういった事情を理解するとして、要望したいのは、積算参考資料に質疑回答による修正や設計変更による修正などが、一部盛り込めていないことの説明とその資料の添付です。
そういった資料を添付してくれれば、積算参考資料と図面との違いを、入札時に質疑する必要もなくなり、その回答による訂正作業も省略できます。
入札参加者側で数量と項目の相違が、どちらが正しいか判断できるからです。
積算参考資料作成時の質疑回答書と、その時期の変更内容は、ぜひとも添付してほしい資料だと思いますし、それによって、積算参考資料の存在意義・利用価値が高くなると思います。

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