積算事務所の新型コロナ対策としてのテレワークのやり方

新型コロナの感染拡大は、非常事態宣言やいろいろな自粛などによって、ある程度は抑えられつつあるように見えます。

効果がありそうな治療薬の情報も聞かれるようになってきているので、少しずつ希望は見えてきていると感じています。

ただし、非常事態宣言が解除され、自粛が解かれていった場合の感染の再拡大の危険性を考えると、楽観はできません。

積算事務所の積算業務をテレワークでやるのは「無理！」と決めつけないで、少しずつでも、部分的にでも、テレワーク化を考えていく必要があると思います。

テレワークのためのコンピューター環境の選び方

積算事務所の積算業務は通常、会社のサーバー上でデータを管理する積算ソフトに、各クライアントPCで接続してデータ入力・演算・出力をするという形態になっていると思います。

このクライアントPCでやっている作業を自宅で出来れば、テレワークが可能ということになりそうです。

一つの方法として、自宅のPCを会社のPCと同じようにセットアップして、積算ソフトのクライアント部・Officeソフト・メールなどを使えるようにし、会社のサーバーに接続するというやり方が考えられます。

ただ、この方法は、自宅PCのセットアップに手間がかかる、会社のサーバーにどのように接続するのか、会社のPCで作業と自宅のPCでの作業のファイル（メールを含む）の整合をどうするのか、と言った問題とともに、各種情報を自宅のPCに取り込むことになるので、情報漏洩のリスクが増すことにもなり、あまり現実的ではありません。

そこで、通常は VNC(Virtual Network Computing）という技術を使った方法をとります。

VNCを平たく言うと、会社のクライアントPCを、自宅のPCからリモート操作（遠隔操作）するということです。
会社のPCをリモート操作するだけなので、会社のPCにあるファイルを自宅のPCに持ち込む必要がないので、情報漏洩のリスクが増すことはありません。
会社のPCと同じように積算ソフト・Officeソフト・メールなどをセットアップする必要もなく、作業ファイルも会社のPCでの運用になるので、ファイルが2つできて整合性を気にしなくてはならないということもありません。

なので、VNCを使う方法にした方が間違いありません。

デメリットとしては、会社のPCを起動した状態にしておかなければならないので電気代がかかるのと、テレワークしない誰かが会社のPCを起動してあげないといけないということがありますが、これはいたしかたないところでしょう。

VNCは Chrome リモートデスクトップを使うと簡単

VNCのやり方としては、一つはWindows 10のリモートデスクトップという機能を使う方法がありますが、ルーターのポートマッピング、グローバルIPアドレスが固定ではない場合の対処など、ちょっと難しい問題の解決が必要だったりします。

おすすめなのは、Chrome リモートデスクトップを使う方法です。

Chrome リモートデスクトップは、Googleアカウントを使って接続できるので、簡単にリモート操作環境が構築できます。

詳しいやり方は、↓ こちらを参考にしてみてください。

　Chromeリモートデスクトップを使って自宅から会社のパソコンを操作する 

自宅で使うPCの選び方

自宅にパソコンがある場合は、そのパソコンが古くて性能に不安があったり、解像度の低いモニターしかなかったりしても、まずはその環境で Chrome リモートデスクトップで会社のPCを操作してみてください。

実際の操作に必要な性能は、会社のPCに依存するので、自宅のPCの性能はあまり高くなくても問題ないはずです。

モニターのサイズと解像度は、できれば会社と同じなのが理想ですが、デスクトップPC用のモニターであれば意外と大丈夫かもしれません。

解像度の低いノートPCだと辛いかもしれませんが。

まずはテストしてみて、必要に応じて、自宅用の新しく購入するPCのスペックを考えてみてください。

自宅のPCを新しく購入する場合は、テレワーク助成金制度も使える可能性があるので、検討してみることをおすすめします。

その他のテレワークの課題の解決など

コンピューターのリモート操作環境が整ったとして、実際に積算業務を自宅でやろうとした場合に必要なことは、自宅での作業スペース、図面などの資料を自宅に持ち帰ること、業務を依頼されている得意先との打合せや問合せの電話対応をどうするか、ということになると思います。

図面などの資料は一式すべて持ち帰ろうとすると、それだけでテレワークは無理という考えになってしまう人もいます。

まずは、積算作業の中のテレワークでやりやすい部分だけ、環境の整った希望する社員だけ、月に数日だけ、といった限定的なやり方でスタートしてみると考えれば、可能性があるはずです。

自宅の作業スペースも徐々に整えていけると思います。

打合せや問合せの電話対応については、得意先の方にテレワークすることを連絡しておいて、その日だけでもメールでの対応にさせてもらうことになると思います。

こういう時でもありますし、先方も理解してくれるでしょう。

今は、新型コロナ対策としてテレワークを検討する機会になっていますが、通勤しなくても仕事ができるということは、社員が個々に抱えるかもしれない各種問題（高齢化、家族の介護、育児、けがや病気など）にも対応できる可能性も持っています。

テレワークをまだ検討していない会社の人も、この機会にぜひ考えてみてください。