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テレワークにも対応できる、内訳書の見え消し訂正をPDFファイルで行う方法

質問回答や設計変更などによって内訳書を訂正するとき、どこがどう変わったか分かるように見え消しで訂正することになります。
従来、この作業は紙に印刷した内訳書に手書きで行って、訂正ページをコピー機でPDFファイル化してメールで送信という手順でした。
ここで、PDF-XChange EditorというPDFファイルにコメントやいろいろな図形を加えることができるアプリがあることを考えると、内訳書をPDFファイルとして出力しておいて、PDFファイル上で見え消し訂正ができそうな気がします。
PDFファイル上で見え消し訂正ができたとすると、内訳書を紙に印刷する必要がないなど、いろいろメリットも見えてきます。
Excelを使った内訳書の場合は、訂正か所の文字やセルの色を変える方法もありますが、PDFファイルで見え消しした方がより分かりやすくできると思います。

PDFファイル上で見え消し訂正するメリット

1)紙に印刷しないので、経費と保管場所の削減になる。

2)テレワークに対応できる。
(従来の紙に手書きだとテレワークでは不可能)

3)同じ訂正が複数か所にある場合、コピーできる。

4)複数回訂正する場合に、前回の訂正か所のマーキング(四角形で囲むなど)が簡単に消せる。

5)訂正の文字が薄いとか、汚くて読めないということがない。


PDFファイル上で見え消し訂正の問題点と対策

1)1つのPDFファイルを複数人で開いて編集できてしまうが、保存ができない。
PDFの内訳書を訂正するとすると、社内ネットワーク上の共有フォルダにファイルを置いて、複数の担当者が同じファイルを開いて編集することになります。
順番に一人ずつ編集すれば問題ありませんが、できれば順番を待たずに同時に編集できた方が効率がいいです。
ところが、PDFファイルはその性質上同時に複数の人が見ることができても、編集を加えて保存しようとすると「他の人が編集中のため保存できません」となってしまう問題があります。
これについては、別の記事 共有フォルダのPDFファイルを PDF-XChange Editor で複数人で編集する で書きましたが、対策として1ページ1ファイルになるようにPDFファイルを分割することにします。
ページごとに分割することで、1つのファイルを同時に複数人が開く確率を大幅に下げることができます。
それでも同時に開いてしまうことがあるようなら、編集中はファイル名の前に「編集中」を加えるといった方法も検討します。

2)PDF-XChange Editorの無料版では、PDFファイルの分割・抽出・統合ができない。
この対策として、PDFsam Basicというアプリを使うことにします。
PDFsam Basicを使ったPDFファイル分割については、別ブログの記事 PDF Split and Merge basic を使ったPDFファイル分割の詳細 を参考にしてみてください。
PDFsam BasicはPDFファイルの抽出・統合もできますが、やり方は簡単なので説明は不要と思います。


PDFファイル上で見え消し訂正の準備

1)PDF-XChange Editorのインストール
PDF-XChange Editorがインストールされていない場合は、以下の記事を参考にしてインストールを完了しておきます。
PDF-XChange Editor のダウンロードからインストールまでの手順

2)PDF-XChange Editorの見え消し用コメントツールの準備
コメントスタイルパレットを使って、見え消し作業に使うコメントツールを用意しておきます。
コメントスタイルパレットの使い方は、こちらの記事 → PDF-XChange Editor のコメントツールの種類を増やして便利にしよう を参考にしてください。
また、用意したコメントツールは社内で同じものを使った方がいいので、保存して社内にパソコンに読み込みます。
こちらの記事を参考に → PDF-XChange Editor の変更した設定を保存しておく
見え消し作業に使うコメントツールは、各会社で適当なものを用意すればいいと思いますが、後で書く作業手順の都合も考えると、以下のようなものがいいかなと思います。
・[タイプライター]
 テキストカラー:黒
 フォント:MS Pゴシック
 フォントサイズ:(PDF内訳書の文字と同じくらいのもの)
・[取り消し線]
 塗りつぶしの色:黒
・[矢印ツール]追加した文字がどこに入るか示すのに使います。
 ストロークの色:黒
 幅:1pt
・[矩形]そのときの変更か所が分かるように、変更か所を囲むのに使います。
 塗りつぶしの色:なし
 ストロークの色:赤
 幅:1pt
・[ポリゴンライン]追加した文字がどこに入るか示すのに使います。
 ストロークの色:黒
 幅:1pt
 終点:開いた矢印
その回の訂正か所が分かるように[矩形]ツールで囲み、見え消し訂正を提出後に[矩形]ツールだけ削除して、次回提出用のファイルにするように考えているので、[矩形]以外は色を黒にしています。

3)PDFsam Basicのインストール
PDFsam Basicがインストールされていない場合は、以下の記事を参考にしてインストールを完了しておきます。
PDF Split and Merge basic のダウンロードとインストールの手順


見え消し訂正の手順A:最初の内訳書控えの作成

1)内訳書をPDF出力します。
このときは内訳書全体を1ファイルで出力します。

2)出力した内訳書PDFをページごとに分割します。
上の問題点と対策でも書きましたが、別ブログの記事 PDF Split and Merge basic を使ったPDFファイル分割の詳細 を参考にしてみてください。

3)ページごとに分割したファイルを、それぞれ区分・工種・内外など何のファイルか分かるようにリネームします。
32_管理棟_左官工事_外部.pdf(ページ番号_区分名_工種_外部.pdf)みたいなファイル名になるかと思います。
この作業が一番面倒です。

4)[最初の内訳書控え]フォルダを作成して、分割したファイルをその中に移動します。
1)で出力した内訳書全体のPDFファイルは特に必要ないので、削除してもいいと思います。


見え消し訂正の手順B:1回目の訂正

1)[1回目訂正]フォルダを作成します。

2)[最初の内訳書控え]フォルダ内のファイルを、[1回目訂正]フォルダにすべてコピーします。

3)[1回目訂正]フォルダの中に、[訂正中]フォルダを作成します。

4)訂正したいページのファイルを、[第1回訂正]フォルダから[訂正中]フォルダに移動します。(コピーではない)
あとで訂正したページを1つのファイルに統合するので、訂正のないページは移動しないようにします。

5)[訂正中]フォルダ内のPDFファイルで見え消し訂正します。
ページを追加したいときは、内訳書アプリで追加ページを作成してPDF出力して、ファイル名の先頭のページ番号は「32a」や「32_1」にします。

6)見え消し訂正の訂正内容を、内訳書アプリで内訳書データに反映します。

7)[訂正中]フォルダ内のPDFファイルを1つに統合して提出します。
このとき、統合前のページごとのファイルは残しておきます。


見え消し訂正の手順C:2回目の訂正

1)[2回目訂正]フォルダを作成します。

2)[1回目訂正]の中の[訂正中]フォルダの残しておいたページごとのファイルで、四角形の枠をすべて削除します。
別ブログの記事 PDF-XChange Editorで特定のコメントをまとめて削除する方法 を参考に。
このとき、手順B-7)の統合したファイルで四角形の枠をまとめて削除した方が早いですが、その後で再度ページごとに分割・リネームしなければならなくなるので、分割したファイルで四角形の枠を削除した方がいいと思います。

3)上記の四角形の枠を削除したファイルと、[1回目訂正]フォルダ内の訂正のないファイルを[2回目訂正]フォルダにコピーします。
[2回目訂正]フォルダに、2回目訂正用のファイルが全ページ揃うはずです。

4)以降は、手順Bの4)~7)と同じです。


その他

3回目以降の訂正手順は、手順C:2回目の訂正と同じになります。

訂正か所が分かるようにするのは、一般的には[雲形]ツールを使うことが多いと思いますが、この説明では[矩形]ツール(四角形の枠)を使っています。
実際にやってみると、[雲形]ツールより[矩形]ツールの方がやりやすいと思ったからですが、[雲形]ツールの方がやりやすいという人は、そちらを選んでもいいと思います。

共有フォルダでの作業は、間違ってファイルを削除したり、同じファイルを重複して作ってしまい、どちらが正か分からなくなるなどの問題が起きやすいです。
作業手順などの取り決めをしっかり行って、その上で注意深く作業するようにしましょう。

PDF-XChange Editorの有料フル機能版を購入すると、PDFファイルの分割・抽出・統合がPDF-XChange Editorで出来るようになり、コメントツールを加えたページだけを抽出することも出来ます。
ここで説明したPDFsam Basicを使った分割・統合方法と比べて、どちらがやりやすいかは分かりませんが、有料版の購入を検討してみるのもいいかもしれません。

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