スキップしてメイン コンテンツに移動

国交省建築工事標準仕様書におけるシーリングの材種と断面寸法のまとめ

建築工事におけるシーリング材の材種と断面寸法について、国土交通省 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)で、図面に記載がない場合として定められているものがあります。
基本的には9章防水工事の7節シーリングに記載されていますが、一部他の章・節にも記載されていますので、少し解説を加えながら整理してみます。
対象は最新版の平成31年版です。

シーリングの材種

シーリングの材種については、基本的には9章防水工事-7節シーリングの中の表 9.7.1で定められています。

表 9.7.1

この表の中で注意すべき点は、注1にとして書かれている仕上げありの場合(シーリング材表面に仕上塗材・塗装等を行う場合)に、同じ被着体の組合せでも、材種が違っているところです。
仕上げなしの場合は変成シリコーン系またはポリサルファイド系ですが、仕上げありの場合はポリウレタン系となっています。
これは、シーリング材表面に仕上塗材・塗装等を行った場合に、ブリードという汚染が発生してしまうためで、仕上げありの場合はブリードが発生しないポリウレタン系が推奨されるからです。

表 9.7.1の注4および9.7.2.(4)では、外装壁タイル接着剤張りに用いるシーリング材について、記載されています。
タイル~タイル間の伸縮調整目地は、表 9.7.1ではポリサルファイド系ですが、外装壁タイル接着剤張りの場合は変成シリコーン系となっています。
また、打継ぎ目地及びひび割れ誘発目地のシーリング材についても表 9.7.1とは異なります。

11章タイル工事 3節有機系接着剤によるタイル張り
11.3.4.(1)
打継ぎ目地及びひび割れ誘発目地のシーリング材はポリウレタン系シーリング材とし、伸縮調整目地その他の目地は変成シリコーン系シーリング材とする。

表 9.7.1では打継ぎ目地及びひび割れ誘発目地のシーリング材は、仕上げなし(シーリング材表面に仕上塗材・塗装等を行わない場合)であればポリサルファイド系となりますが、ここでポリウレタン系としているのは、有機系接着剤が仕上塗材・塗装等と同様にブリード(汚染)を発生させるためです。
伸縮調整目地その他の目地も変成シリコーン系となっており、タイルと他材取合目地は表 9.7.1でも変成シリコーン系ですが、タイルとタイルの取合目地は表 9.7.1のポリサルファイド系と違って、変成シリコーン系となっています。

遮音シール材については表 9.7.1に記載はなく、19.7.2.(8)で記載されています。

19章内装工事 7節せっこうボード、その他ボード及び合板張り
19.7.2.(8)
遮音シール材
軽量鉄骨下地ボード遮音壁に用いる遮音シール材は、JIS A 5758 (建築用シーリング材) に基づくアクリル系、ウレタン系等のシーリング材又は(6)のジョイントコンパウンドとし、適用は特記による。

シーリング材の目地寸法

シーリング材の目地寸法については、基本的には9章防水工事-7節シーリングの中の9.7.3 目地寸法で定められています。

9.7.3.(1).(ア)
コンクリートの打継ぎ目地及びひび割れ誘発目地は、幅20mm以上、深さ10mm以上とする。
9.7.3.(1).(イ)
ガラス回りの目地は、16.14.3[ガラス溝の寸法、形状等]による場合を除き、幅・深さとも5mm以上とする。
(16.14.3[ガラス溝の寸法、形状等]には目地寸法の記載はない)
9.7.3.(1).(ウ)
(ア)及び(イ)以外の目地は、幅・深さとも10mm以上とする。

これとは別に、他の章・節で定められているものは、以下のとおりです。

8章コンクリートブロック、ALCパネル及び押出成形セメント板工事-4節ALCパネル

8.4.3.(6)
パネルの短辺小口相互の接合部の目地は伸縮調整目地とし、目地幅は特記による。
特記がなければ、10~20mmとする。
8.4.3.(7)
出隅及び入隅のパネル接合部並びにパネルと他部材との取合い部の目地は伸縮調整目地とし、目地幅は特記による。
特記がなければ、10~20mmとする。
8.4.3.(11)
雨掛り部分のパネルの目地は、シーリング材を充填する。

8章コンクリートブロック、ALCパネル及び押出成形セメント板工事 5節押出成形セメント板 (ECP)

8.5.3.(6)
パネル相互の目地幅は、特記による。
なお、長辺の目地幅は8mm以上、短辺の目地幅は15mm以上とする。
8.5.3.(7)
出隅及び入隅のパネル接合目地は伸縮調整目地とし、目地幅は特記による。
特記がなければ、目地幅は15mm程度とし、シーリング材を充填する。

10章石工事-5節乾式工法

10.5.3.(6).(イ)
シーリング材の目地寸法の幅及び深さは8mm以上とする。

10章石工事-3節外壁湿式工法

10.3.3.(5).(ア).(d)
シーリング材の目地寸法の幅及び深さは6mm以上とする。

10章石工事-7節特殊部位の石張り

10.7.2.(5).(ア).(b)
目地を設ける場合は、9章7節[シーリング]のシーリング材とし、目地寸法の幅及び深さは6mm以上とする。

当サイトでは、まるごと複製してWebサイト化した Web版 国土交通省 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)平成31年版を作成しています。
各ページへのリンクを埋め込むなど使いやすくしていますので、ぜひご利用ください。

コメント

  1. シーリングの仕上あり、なしの判断はどうするのでしょうか。
    設計者に質問をしているのですか。

    返信削除
  2. ちょびさん、こんにちは。
    コメントありがとうございます。

    記事内にも少し書きましたが、「仕上あり」は※1で書かれているように、シーリング材表面に仕上塗材・塗装等を行う場合となります。
    つまり、周囲の外壁仕上が仕上塗材(吹付タイルなど)か塗装の場合に、「仕上あり」と考えればいいと思います。
    シーリング部分にマスキングして表面に仕上塗材・塗装が付かないようにできるかもしれませんが、現場でそのようにしないのではと考えています。
    (実際どうなのかは、ちょっと自信ないですが)
    仕上塗材・塗装以外のタイル・石・サイディングなどの下になる場合は、汚染の心配がないので、「仕上なし」となります。

    これについては、設計者に質問はしていません。
    ただし、仕上塗材・塗装部分なのに、図面で「仕上なし」のシーリングを指定している場合は、「ポリウレタン系としてよろしいですか。」と質問するようにしています。

    返信削除

コメントを投稿

共有する


関連コンテンツ