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4章外壁改修工事 5節タイル張り仕上げ外壁の改修 4.5.8タイル張替え工法(改修標準仕様書(建築)H28)

国土交通省 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)平成28年版

4章 外壁改修工事
 5節 タイル張り仕上げ外壁の改修

4.5.8 タイル張替え工法

(a) 適用範囲
タイルの部分的な張替えで,下地モルタルを撤去する場合に適用する。

(b) 伸縮調整目地及びひび割れ誘発目地
(1) 伸縮調整目地及びひび割れ誘発目地の位置は,特記による。
 特記がなければ,表4.5.1による。
 なお,下地のひび割れ誘発目地,打継ぎ目地,構造スリットの位置及び他部材との取合い部には,特記がない場合においても,伸縮調整目地を設ける。
表 4.5.1 伸縮調整目地及びひび割れ誘発目地の位置


(2) 伸縮調整目地及びひび割れ誘発目地の寸法は,3.7.3[目地寸法]による。
 なお,ひび割れ誘発目地のコンクリート目地深さは,打増ししたコンクリート厚さとする。

(3) 伸縮調整目地は,躯体と縁を切って設ける。

(4) 伸縮調整目地及びひび割れ誘発目地のシーリングの材料は 3.7.2[材料]及び(g)(2),施工は 3.7.4 [シーリング充填工法] による。

(c) 施工前の確認
タイル張りに先立ち,次の項目について確認を行い,不具合が発見された場合は,速やかに確認結果を監督職員に報告するとともに,不良箇所を補修する。
(ⅰ) モルタルの硬化不良,はく離,ひび割れ,浮き等がないこと。
(ⅱ) 汚れ,レイタンス等接着上有害な付着物がないこと。
(ⅲ) 所要の下地の精度が確保されていること。

(d) 施工後の確認及び試験
(1) 外観の確認
 タイル張り完了後,次の項目について目視で外観の確認を行い,不具合が発見された場合は,速やかに確認結果を監督職員に報告する。
 ① タイルの色調の不ぞろい,不陸,汚れ,割れ,浮上がり及び縁欠けの有無
 ② 目地幅の不ぞろい,目地の色むら及び目地深さの均一性

(2) 打診による確認
 (ⅰ) タイル張りは,モルタル及び接着剤の硬化後,全面にわたり打診を行う。
 (ⅱ) 浮き,ひび割れ等が発見された場合は,速やかに(ⅰ)による確認結果を監督職員に報告する。
 (ⅲ) 浮き,ひび割れ等によるタイルの張直しは,監督職員の承諾を受けて行う。

(3) 接着力試験
 タイル張りは,次により接着力試験を行う。
 ただし,施工場所の状況等により,その必要がないと認められる場合は,監督職員の承諾を受けて,省略することができる。
 ① 試験方法は,接着力試験機による引張接着強度の測定により,試験の時期は強度が出たと思われるときとする。
 ② 試験体
  ア. 試験体は目地部分をコンクリート面まで切断して周囲と絶縁したものとする。
  イ. 試験体の個数は,100㎡ごと及びその端数につき1個以上,かつ,全体で3個以上とする。
  ウ. 試験体の位置は,監督職員の指示による。
 ③ 引張接着強度及び破壊状況の判定は,表4.5.2 の場合を合格とする。
表 4.5.2 引張接着強度及び破壊状況

 ④ 不合格の場合は,1.2.2[施工計画書]の品質計画として定めた方法で処置し,監督職員の検査を受ける。

(e) タイル張り下地等の下地モルタル塗り
(1) セメントモルタル張りタイル下地
 (ⅰ) モルタル下地の塗厚は,原則として,全仕上げ厚さ,タイル厚さ等から定める。
 (ⅱ) タイル張りが,密着張り,改良積上げ張り,改良圧着張り,マスク張り及びモザイクタイル張りの場合並びにセメント系厚付け仕上塗材の場合は,中塗りまで行う。
 (ⅲ) モルタル下地面の仕上げは,原則として,木ごて押えとし,その精度はモザイクタイルでは2mにつき3㎜,小口以上のタイルでは2mにつき4㎜とする。
  なお,精度について確認を行い,その結果を監督職員に報告する。

(2) 外装壁タイル接着剤張り下地
 (ⅰ) 外装壁タイル接着剤張り下地の躯体コンクリート表面の仕上がり状態は,表8.1.3[打放し仕上げの種別]のA種及び表 8.1.4[コンクリートの仕上りの平たんさの標準値]によるものとし,4.2.2(g)(8)によるセメント系下地調整厚塗材2種 (下地調整塗材 CM-2) 2回塗り,総厚10㎜以上とする。
 (ⅱ) 外装壁タイル接着剤張り下地の仕上げは,原則として,金ごて1回押えとし,その精度は1mにつき3㎜以下とする。
  なお,精度について確認を行い,その結果を監督職員に報告する。

(3) 外装タイル張り下地等の下地モルタル塗りの確認
 (ⅰ) 外装タイル張り下地等の下地モルタルの硬化後,全面にわたり打診を行う。
  なお,浮き及び精度について確認を行い,その結果を監督職員に報告する。
 (ⅱ) 浮き及び精度について,不具合が確認された場合は,直ちに補修を行う。
 (ⅲ) 外装タイル張り下地等の下地モルタルの接着力試験は,特記による。

(4) タイルの伸縮調整目地に合わせて幅10mm以上の伸縮調整目地を設ける。伸縮調整目地は,発泡合成樹脂板の類を用い,目地周辺から浮きが発生しないよう,原則として,構造体まで達するようにする。

(f) セメントモルタルによる陶磁器質タイル張り
(1) 材料
 セメントモルタルによる陶磁器質タイル張りの材料は4.2.2(h)(2)から(7)までによる。

(2) モルタルの調合は,表 4.5.3による。
 なお,モルタルの練混ぜは,原則として機械練りとする。
 また,1回の練混ぜ量は,60分以内に張り終える量とする。
表 4.5.3 モルタルの調合 (容積比)


(3) 既製調合モルタルは,モルタル製造所の仕様による。

(4) 既製調合目地材は,モルタル製造所の仕様による。

(5) 施工時の環境条件
 (ⅰ) 降雨・降雪時,強風時等タイル工事に支障のあるとき及びこれらが予想される場合は,施工を行わない。
 (ⅱ) 塗付け場所の気温が3℃以下及び施工後3℃以下になると予想される場合は,施工を行わない。

(6) 施工
    (ⅰ) 下地及びタイルごしらえ
  ① モルタル塗りを行うコンクリート素地面を目荒らし工法とする場合は,4.4.9(c)による。
  ② 下地は,(e)による。
  ③ タイル下地面の精度は(e)(1)による。
  ④ 夏期にタイル張りを行う場合は,下地モルタルに前日散水し,十分吸水させる。
  ⑤ タイル張りに先立ち,下地モルタルに適度の水湿し又は吸水調整材の塗布を行う。
   ただし,改良積上げ張りの場合,吸水調整材の塗布は行わない。
  ⑥ 吸水性のあるタイルは,必要に応じて,適度の水湿し又は吸水調整材の塗布を行う。
  ⑦ タイルごしらえは,必要に応じて行う。

 (ⅱ) タイル張りの工法と張付け材料の塗厚は表4.5.4により,工法の適用は特記による。
表 4.5.4 セメントモルタルによるタイル張り工法と張付け材料の塗厚


 (ⅲ) 密着張り
  ① 張付けモルタルは2層に分けて塗り付けるものとし,1層目はこて圧をかけて塗り付ける。
   なお,張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は2㎡以下とし,かつ,20 分以内に張り終える面積とする。
  ② 張付け順序は,目地割りに基づいて水糸を引き通し,窓,出入口回り,隅,角等の役物を先に行う。
  ③ 張付けは,張付けモルタルの塗付け後,直ちにタイルをモルタルに押し当て,タイル張り用振動機 (ヴィブラート) を用い,タイル表面に振動を与え,張付けモルタルがタイル裏面全面に回り,さらにタイル周辺からモルタルがはみ出すまで振動機を移動させながら,目違いのないよう通りよく張り付ける。
  ④ 化粧目地は,次による。
   ア.タイル張付け後,24 時間以上経過したのち,張付けモルタルの硬化を見計らって,目地詰めを行う。
   イ.目地の深さは,タイル厚さの 1/2以下とする。
   ウ.目地詰めに先立ち,タイル面及び目地部分の清掃を行い,必要に応じて,目地部分の水湿しを行う。
   エ.目地詰め後,モルタルの硬化を見計らい,目地ごて等で仕上げる。
  ⑤ 目地成形後,タイル面の清掃を行う。

 (ⅳ) 改良積上げ張り
  ① 目地割りに基づいて役物を張り付け,水糸を引き通し,原則として下から張り上げる。
  ② 張付けは,張付けモルタルをタイル裏面全面に平らに塗り付けて張り付けたのち,適切な方法でタイル周辺からモルタルがはみ出すまで入念にたたき締め,通りよく平らに張り付ける。
   なお,モルタルの塗置き時間は5分以内とする。
  ③ 1日の張付け高さの限度は,1.5m程度とする。
  ④ 化粧目地は,(ⅲ)④による。
  ⑤ 目地詰め後,タイル面の清掃を行う。

 (ⅴ) 改良圧着張り
  ① 張付けモルタルは2層に分けて塗り付けるものとし,1層目はこて圧をかけて塗り付ける。
   なお,張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は2㎡以下とし,かつ,張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は,60 分以内に張り終える面積とする。
   また,練り混ぜる量は1回の塗付け量及び張付け量とする。
  ② 張付け順序は,(ⅲ)②による。
  ③ 張付けに先立ち,下地側に張付けモルタルをむらなく平たんに塗り付ける。
  ④ 張付けは,タイル裏面全面に張付けモルタルを平らに塗り付けて張り付け,適切な方法でタイル周辺からモルタルがはみ出すまでたたき締め,通りよく平らに張り付ける。
  ⑤ 1回のモルタル塗面にタイルを張り終わったとき,モルタルの硬化の程度により,張付けが終わったタイル周辺にはみ出しているモルタルを取り除き,塗り直してからタイルを張り進める。
  ⑥ 化粧目地は,(ⅲ)④による。
  ⑦ 目地詰め後,タイル面の清掃を行う。

 (ⅵ) マスク張り (25mm角を超え小口未満のタイル)
  ① 張付けモルタルには,混和剤を用いる。
  ② 張付け順序は,(ⅲ)②とし,役物及び切物タイルの張付けは,(ⅳ)②による。
  ③ 張付けは,張付けモルタルをタイルに見合った,ユニットタイル用マスクを用い,ユニット裏面全面にこてで圧着して塗り付け,縦横及び目地幅の通りをそろえて張り付け,適切な方法で目地部分に張付けモルタルがタイル周辺からはみ出すまでたたき締める。
   なお,モルタルの塗置き時間は,(ⅳ)②による。
  ④ 表張り紙の紙はがしは,張付け後,時期を見計らって水湿しをして紙をはがし,著しい配列の乱れがある場合は,タイルの配列を直す。
  ⑤ 化粧目地は,すり込み目地とするほかは,(ⅲ)④アからウまでによる。
  ⑥ 目地詰め後,タイル面の清掃を行う。

 (ⅶ) モザイクタイル張り (小口未満のタイル)
  ① 張付けモルタルは2層に分けて塗り付けるものとし,1層目はこて圧をかけて塗り付ける。
   なお,張付けモルタルの1回の塗付け面積の限度は,3㎡以下とし,20分以内に張り終える面積とする。
  ② 張付けモルタルを塗り付けたのち,タイルを張り付け,縦横及び目地幅の通りをそろえ,適切な方法で目地部分に張付けモルタルが盛り上がるまでたたき締める。
   なお,タイル張継ぎ部分の張付けモルタルは,除去し塗り直す。
  ③ 表張り紙の紙はがしは,(ⅵ)④による。
  ④ 化粧目地は,(ⅵ)⑤とする。
  ⑤ 目地詰め後,タイル面の清掃を行う。
  ⑥ ①から⑤まで以外は,(ⅲ)による。

 (ⅷ) まぐさ,窓台等のタイル張り
  ① 下地は,設計図書に基づき,形状,水勾配等を正しく施工する。
   小口タイル以上の大きさの,まぐさ及びひさし先端下部のタイルを張り付ける場合は,4.2.2(h)(6)の引金物を張付けモルタルに塗り込み,必要に応じて,受木を添えて24時間以上支持する。
  ② 窓台部分のタイルは,窓枠,水切板等の裏面に差し込み,裏面に隙間のないようにモルタルを充填する。
  ③ ①及び②以外は,一般部分に準ずる。

 (ⅸ) 伸縮調整目地にはみ出した張付けモルタルはすべて削り落とし,張付けモルタルの施工が適切でなく隙間のできた場合はモルタルを補充し,目地の形状を整える。

(7) 養生及び清掃
 (ⅰ) 養生
  ① 屋外施工の場合で,強い直射日光,風,雨等により損傷を受けるおそれのある場合は,シートを張るなどして養生を行う。
  ② 施工中及びモルタルが十分硬化しないうちに,タイル張り面に振動,衝撃等を与えない。
  ③ 寒冷期の施工は,4.1.3(c)による。

 (ⅱ) 清掃
  タイル張り終了後,タイル表面を傷めないように清掃し,汚れを取り除く。やむを得ず清掃に酸類を用いる場合は,清掃前に十分水湿しをし,酸洗い後は,直ちに水洗いを
行い,酸分が残らないようにする。
  なお,金物類には,酸類が掛からないように養生を行う。

(g) 有機系接着剤による陶磁器質タイル張り
(1) 材料
 有機系接着剤による陶磁器質タイル張りの材料は,4.2.2(h)(1)(ⅱ)及び(2)から(6)までによる。
(2)シーリング材
    (ⅰ) シーリングは,3章7節[シーリング]による。
 (ⅱ) 有機系接着剤による陶磁器質タイル張りにおける打継ぎ目地,ひび割れ誘発目地及び伸縮調整目地その他の目地のシーリング材は,特記による。
  特記がなければ,打継ぎ目地及びひび割れ誘発目地のシーリング材はポリウレタン系シーリング材とし,伸縮調整目地その他の目地は変成シリコーン系シーリング材とする。
 (ⅲ) 外装壁タイル接着剤張りに用いるシーリング材は,施工に先立ち,有機系接着剤による汚染が出ないことを確認する。

(3)施工時の環境条件
 (ⅰ) 降雨・降雪時,強風時等タイル工事に支障のあるとき及びこれらが予想される場合は,施工を行わない。
 (ⅱ) 塗付け場所の気温が5℃以下及び施工後5℃以下になると予想される場合は,施工を行わない。

(4) 施工前の確認
 施工前の確認は,(c)によるほか,下地が十分乾燥していること。

(5) 施工
    (ⅰ) 下地及びタイルごしらえ
  ① モルタル塗りを行うコンクリート素地面を目荒らし工法とする場合は,4.4.9(c)による。
  ② 外装壁タイル接着剤張り下地等の下地モルタル塗りは,(e)(2)による。
  ③ タイルの張付けに当たって,下地モルタルに水湿し,吸水調整材の塗布は行わない。
  ④ タイルごしらえは,必要に応じて行う。

 (ⅱ) タイル張りの工法と張付け有機系接着剤の使用量は表4.5.5により,工法の適用は,特記による。
  なお,外装壁タイル接着剤張り専用タイルを用いない場合の有機系接着剤の使用量は,特記による。
表 4.5.5 有機系接着剤によるタイル張り工法と張付け材料の使用量


 (ⅲ) 工法
  ① 有機系接着剤の1回の塗布面積の限度は, 30分以内に張り終える面積とする。
  ② 有機系接着剤は金ごて等を用いて平たんに塗布したのち,所定のくし目ごてを用いて壁面に60°の角度を保ってくし目を立てる。
   裏あしのあるタイルを用い,くし目を立てて有機系接着剤を塗り付けて張り付ける場合は,裏あしに対して直交又は斜め方向にくし目を立てる。
   有機系接着剤を平たんに塗り付ける場合は,一度くし目を立てたのちに金ごてを用いて平たんに均す。
   ただし,目地幅が3㎜以下の空目地の場合は,くし目状態のままとする。
  ③ 目地割りに基づいて水糸を引き通し,基準となる定規張りを行い,縦横目地引き通しに注意しながら張り上げる。
  ④ 1枚張りの場合は,手でもみ込んだのち,たたき板,タイル張りに用いるハンマーでたたき押えるか,又は振動工具を用いて加振して張り付ける。また,ユニットタイル張りの場合は,全面を軽くたたきながら目地の通りを手直しを行い,たたき板で密着させ
る。
  ⑤ まぐさ,窓台等のタイル張りの下地は,水切が適切に行えるよう,形状,水勾配等を正しく施工する。
  ⑥ 化粧目地を詰める場合は,有機系接着剤の硬化状態を確認したのち,(f)(6)(ⅲ)④に準じて目地詰めを行う。
  ⑦ タイル面の清掃を行う。

 (ⅳ) 養生及び清掃
  ① 寒冷期の施工は,4.1.3(c)による。
  ② 清掃
   ア.清掃は水洗いを原則とし,ブラシ等を用いてタイル面に汚れが残らないように注意して行う。
   イ.目地モルタルによる汚れが甚だしいときは,監督職員の承諾を受けて,酸洗いを行う。
    タイルや目地に酸類の影響が残らないように,酸洗いの前後には十分に水洗いを行う。
   ウ.有機系接着剤がタイル表面に付着して硬化した場合には,汚れ除去用の発泡樹脂製品,砂消しゴム等で削り取る。
    ただし,表面が平滑な壁タイル等は,有機系接着剤が硬化する前に溶剤等でふき取る。

国土交通省大臣官房官庁営繕部 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)平成28年版(H28.6 一部改定)の複製です。

元の標準仕様書は、↓ こちらからダウンロードできます。
 官庁営繕:公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)平成28年版 - 国土交通省

なお、元となる標準仕様書の改定周期は3年となっています。
次は平成31年版(または新元号元年版)になると思いますが、最新版が発行されたら、そちらを参照してください。

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